MARK  明石の蛾達:生涯生態
ワタヘリクロノメイガ
開始:2009/12/06
更新:2010/10/18

すみません、生涯生態の本体部分は未だ作成いたしておりません。

なんでも観察 飼育などの観察を通じて感じたことに自分勝手な推測を行っています。
くれぐれも参考程度に留めて見てください。
掲 載 タ イ ト ル
bP  成虫:♀と♂の見分け方 2009/12/06
bQ  成虫:♀と♂の見分け方の追記

bP 成虫:♀と♂の見分け方 2009/12/06
ワタヘリクロノメイガは、お尻にボンボン状に広がる独特の毛塊があり、 これをクルクルと廻す仕草はとても愛嬌があります。しかもこれは♀♂共通なのです。
ところが、「♂は尾端の毛塊が発達している」と紹介されていることに従ってしまうと、 ♀には全く出会うことができないことになってしまいます。
(私のように、尾端の毛塊=ボンボン状の毛塊と解釈した場合)
そこで、誰にでもできそうな見分け方を探してみました。
下の写真は♀と♂なのですがどちらがどちらか判りますか?。参考情報として、
・どちらも幼虫から同じ環境で飼育し、ほぼ同時期に室内羽化したものです。
・前翅長は♀の方が約1mm大きい。
・ボンボンは♂の方が少し黒っぽい。
※撮影倍率、個体差などを考慮すると並べて比べても役に立ちそうには・・・。
正解は、マウスポインタを写真の上に置くと現れます。
♂ ♀
私が行った方法は・・・・
成虫の見分け方を探すにあたり、まずしなければならないことは正確に♂と♀を認識しておくことです。
成虫の交尾器を調べれば良いことなのですが、お尻を押して交尾器を出させることすら怖くて私にはできません。
種によっては判らないものや困難なものがありますが、蛹の時点で♂と♀の異なる位置にある交尾器で知ることができます。
私の様に幼虫から飼育する者にとっては非常に重宝するものです。
交尾器の位置は、♂では先端の肛門のすぐ傍(第9腹節に左右突起状)にあり、 ♀では斜めに走るラインの交わる内側に入った離れたところ(第8腹節にスリット状)にあります。
写真左の上側が♀で下側が♂です。右はそれぞれの腹側からを拡大したものです。
それぞれシンボルマークが示す位置に交尾器があります。緑矢印は逆の場合の位置を示します。
♂と♀の蛹を別の飼育箱に入れて羽化した成虫を見比べて探しました。
sanagi mesu_011 osu_011
見分け方は意外と明確、だが・・
探し出した見分け方はハッキリとした違いがあり、誰にでも可能なものと思われます。
多くのノメイガ類と同じ様に、♂は尾毛が黒くなっているのです。(表裏面とも)
しかし、尾毛の位置に問題があります。ボンボンの間でありボンボンを広げていると殆ど隠れてしまい、 ♀であってもボンボンの影で黒く見えてしまうことがあります。
更に、絶えずお尻を動かしているため確認し辛いのです。特異な特徴が仇になっています。
(最初の写真を見直してください。♂は何とか判るものの♀は「さて?」となってしまいます)
ボンボンの間の隙間は、裏(腹)側が広く開いています。裏側が観察できる場合は容易になります。
裏側から見た写真です。敢えて説明をしなくてもどちらが♂か判るでしょう。
osu_021 mesu_021
朗報!、裏側が観察できなくても・・
警戒態勢に入るとボンボンを閉じてお尻の動きも止める性質があるようです。
やさしくソゥッと静かに息を吹きかけてみてください。「オヤッ!」と思い警戒態勢をとります。
僅かの時間ですので素早く観察や撮影を行ってください。
右の写真は、♀にそのようにして撮ったものです。
(尾毛が少し黒く見えますが♂はもっとハッキリと黒くなっています)
息が吹きかけれない状況では、軽い振動を与えるなどの工夫をしてください。
mesu_031
《お詫び》
見分け方が判ったのならば、もう少し的確明解な写真は無かったのかとお思いと感じております。
実は、判ったのは蛾達が羽化して数日経った後であり既にヨレヨレになっており、 後は運任せの放蛾しか出来ない状態でした。
仕方なく、それまでに適当に撮っていた写真から使えそうなものを使用しています。
後日チャンスに恵まれた時には・・・、と考えておりますのでお許し願います。
☆★ 確認がとれました ★☆ 2010/03/14
上記の内容について、確認がとれましたので追記いたします。
日本蛾類学会員の蛾LOVE氏のご協力によりノメイガ類に詳しいHY氏(京都市)に確認していただきました。
HY氏によりますと、黒い毛束は♂特有のヘアーペンシルで第8節と第9節の間から生えており♀には無いものだそうです。
更に、ボンボン状の毛塊の有無が♂♀共通であること、蛹での♂♀識別方法についても同意をいただきました。

この場で恐縮ですが、両氏に感謝の御礼を申し上げます。

bQ 成虫:♀と♂の見分け方の追記 2010/10/18
今年羽化させたものより、bPの見分け方の内容は基本的に間違いが無いものの 厄介なものが多く♀を誤判断する可能性が見出されたため、 追記という形をとらせて頂きます。
又、前回の反省も空しく適切な写真を用意できなかったことをお詫びしておきます。
表側からが黒く見えてしまう♀
下の写真は♀なのですが・・・。
写真左:ボンボンの間を広く開けているものですが・・ ♂と間違えそうになりませんか?。
写真中:前から覗き込むように見て・・やはり♂かなとは??。
写真右:ボンボンをしぼめた状態で・・やっぱり♂かな???。
良く見てみると黒く見えるものの翅の外周と同じ暗褐色です。
そして、前へ行くほど滲み出たように薄くなり白い毛を持つ第8節にまで及んでいて境界がありません。 そうなのです、♀は第8節に褐色の毛が混ざるようにあるのです。
mesu_211 mesu_212 mesu_213
表側からの♂は・・・
下の写真は♂ですが、適切な写真が用意できずすみません。
写真左:相応するものがありません。適切なものが撮れ次第埋めておきます。
写真中:ハッキリしないものの境界があるように見えます。
(すみません、紛らわしい淡い朱色部分はボンボンを透過した光によるものです)
写真右:ボンボンをしぼめていませんが♀に比べると境界があることが判ります。
境界がハッキリしないのは、第9節の黒い毛の上に第8節の白い毛が少し被さっているからです。 そして、♂の第8節には白い毛しかありません。
osu_221 相応する写真がありません osu_222 osu_223
裏側の方が確実
判り辛く間違え易い表側に比べると裏側は明解確実に違いがあります。
お尻を廻していますので普通に止まっている状態でも裏側を見るチャンスはあります。
♂(写真左)は表側と同様に第9節の黒い毛に第8節の白い毛が 被さるためハッキリしないものの境界のある黒色で、 ♀(写真右)は先端のみが楕円形に赤茶色になっており 陰にならない限り黒く見えることはありません。
osu_231 mesu_231
その他の見分け方
ボンボンの明暗
bPで少し触れていますが、♂は暗く、♀は明るく見える傾向があります。
見慣れると単独でも可能ですが見比べるものが無いと難しい。
蛹態の時点で分ける
幼虫から飼育される方ならbPで述べています蛹で見分け後に別々に羽化させて見分けることができます。
産卵させてみる
捕獲中の♀がケース内で産卵することがあります。未だ確認していませんが卵は直径約1mmの平たい円盤状と思われます。
ただ、産卵すれば♀と判るだけで、産卵しなければ♀とも♂とも判らないのです。
思い切りや諦めも肝心
生態写真では意識していない限り殆どポイントが写っていません。
又、写っていても表側からでは判断に苦しむものです。
無責任のようですが、「エイッヤッ!」か諦めることも必要です。
(撮影者の判断に反論できるものはおそらくいない)
右のように更に間違いやすい♀もいるのですから・・。
(♂のように思えるが、第8節の白い毛に僅かに褐色の毛が混じっており♀の傾向がある)
mesu_241