明石の蛾達:生涯生態 |
開始:2005/08/28 更新:2013/05/18 |
各個体は、必ずしも同一個体とは限りません。 幼虫は初齢、若齢、中齢、亜終齢、終齢を使用。数値齢は終齢齢数によって異なる。 【例】終齢=7齢の場合、初齢=1:若齢=2:中齢=3,4,5:亜終齢=6:終齢=7、終齢=5齢は標準。 |
形 態 | 初(1)齢幼虫 | |
撮影日 | ****/**/** ********* | |
孵化直後には集団行動をしているようですが、しばらくすると散らばり単独行動になるようです。 外観形態では、ヒロヘリアオイラガ、クロシタアオイラガと酷似しているが識別可能な背中の模様は この頃よりかろうじて識別することが可能と思われる。 終齢=5齢と思われる。 | ||
形 態 | 若(2)齢幼虫(初期) 約 4.5mm | |
撮影日 | 2006/07/05 シラカシ | |
頭は左側。 まだ明確に現れていない背中模様であるが、ヒロヘリアオイラガとは識別可能です。 | ||
形 態 | 若(2)齢幼虫 約 6mm | |
撮影日 | 2012/07/06 ポプラ | |
頭は左側。 既に単独で行動をしております。 | ||
形 態 | 中(3)齢幼虫 約6.5mm | |
撮影日 | 2005/07/02 シラカシ | |
頭は左側。 背中の模様がハッキリとしてくる。 | ||
形 態 | 亜終(4)齢幼虫 約12mm | |
撮影日 | 2005/07/08 シラカシ | |
頭は左側。 常に頭を隠しており前後が判らない形態をしていますが、内側の長い角にある棘の黒が目立つ方が頭側です。 | ||
形 態 | 終(5)齢幼虫 約28mm | |
撮影日 | 2007/08/04 シラカシ | |
頭は左側。形態は、今迄と異種のように感じられるものに変貌します。 棘の生えていた角状のものは瘤状に変わり、お尻に4個の黒く丸い毛束ができます。 この形態までヒロヘリアオイラガに酷似しますが、頭側の色付き棘は黒色です。 | ||
形 態 | 終(5)齢幼虫(前蛹状態) | |
撮影日 | 2007/12/09 ポプラの幹の繭を分解 | |
夏→越冬→春の長い間は繭の中でこの状態で過ごしています。 黒いのは棘で繭作り中に軟化してしまっている。 | ||
形 態 | 繭(完成直後と風化後) | |
撮影日 |
上:2010/08/21 室内飼育 約13mm 下:2007/12/09 樹皮間 約15mm | |
ヒロヘリとは異なり隠れた場所を選びます。 糸で繭玉の基礎を作り、それに体液を染み込ませて繭を形成します。 楕円球でヒロヘリのように扁平しません。 外に散らばせている黒い毛はお尻の毛を押し付けて外に出したもので毒針毛と思われます。 | ||
形 態 | 蛹 (越冬繭より) | |
撮影日 | 2004/04/08 室内飼育 約14mm | |
羽化時期が近づいてから蛹化します。 繭で守られているせいか非常に柔らかく薄い蛹殻です。 このため、羽化時には蛹殻から抜け出しにくく繭を利用しなければならないようです。 | ||
形 態 | 成虫 ♀ | |
撮影日 | 2005/04/21 室内羽化 前翅長:約16mm | |
大きさは個体差であり♂♀によるものではないように思われます。 |
なんでも観察 |
飼育などの観察を通じて感じたことに自分勝手な推測を行っています。 くれぐれも参考程度に留めて見てください。 |
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幼虫:終齢で変化する理由??(イラガ編) | |
脱皮して終齢に変わる時に色や模様そして外観が今迄とは異種のように変化してしまう種がいます。 イラガ科ではアオイラガが代表と思われるが極似種のヒロヘリアオイラガも同じ変化をする。 変化は色や模様ではなく棘の周辺に現れます。 棘の形と生えている基部の形状が変わり、更に今迄に無かった黒い4個の毛塊がお尻にできるのです。 これには、この種が身を守る防御の特性として備えた鋭い棘針と毒性を維持するための理由がありそうです。 知識の無かった最初の頃は終齢と亜終齢を見比べて、アオイラガとヒロヘリアオイラガだと思っていたほどです。 まずは、亜終齢(上)と終齢(下、いずれも頭は左)を見比べてください。 |
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亜終齢迄 棘の形状:細く硬い鋭利な円錐状で軽く 触れるだけで深く突き刺さりそう。 棘の基部:角状に伸びた円錐の肉塊で 特に頭側3対と尻側2対が長くなる。 棘の生え方:肉塊の表面周囲に散らば って生えている。 終齢では 棘の形状:先端のみ尖る一様な棒状で 確認していませんが硬くなさそう。 棘の基部:少しだけ飛び出た瘤状で、 若干差でほぼみな同じ大きさ。 棘の生え方:瘤の表面に密集して放射 状に生えている。 |
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棘の形の理由 棘が身を守る防御形態であることは確かです。どの様な天敵を想定してかは判り ませんが身を守るためには出来る限り体から離れたところで相手に打撃を与えね ばなりません。 そのため棘は長く飛び出た肉塊の上から更に飛び出た状態になっています。 又、棘は非常に硬く鋭利なため僅かの圧力で相手に突き刺さり更に毒性を持って いるため初期の段階で痛手を与えます。 形を変えねばならない理由 次の段階である繭作りを優先し身を守る事を二の次にした変化と思われます。 繭は幼虫がどうにか入れるくらいの大きさであり、狭い空間でで身をくねらせて 繭を作らねばならないため障害となる長い肉塊や棘を無くしたのでしょう。 形成されたばかりの繭は柔らかく無防備なため外側を毒針毛で飾ります。 糸で繭を形成した後にお尻の毛塊を押し付け内側から押し出し糸に体液を染み込 ませて繭を完成させます。柔らかい時の繭はこの毒針毛で守られているようです。 |
幼虫:新しい棘はどの様にして作られるのか?(イラガ編) | |||
脱皮した後の新しい体は眠状態の間に殆ど完成した状態に古い体の中(皮の下)で 作られます。 古い皮と新しい体の間には体液で満たされており、羊水の中で育つ赤子のように体 を形成していきます。 体の硬い部分である頭、胸脚、毛、棘などは、脱皮後すぐに役目を果たすように出 来上がっています。 従って、これらの部分を古い部分の内側で育てることは到底できません。 頭は柔らかいうちに後方にずらして抜き第1胸節の伸びる皮の下で大きく硬くし、 胸脚はこれに伴って胸節が後方にずらされるためスペースが出来ます。 毛は間の体液中を体に沿って伸ばしていきます。 ところが棘はどうでしょう?。硬く鋭利になる棘は脱皮する前に古い皮を突き破っ てしまいかねません。 これには棘の根元の肉塊が関わりありそうです。 ↓は亜終齢の眠状態のもので育っている棘の形が異なるだけで同じと言えます。 |
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肉塊は柔らかく縮めていることが出来て脱皮後に内側から圧力を加え伸ばすことが出来ます。 肉塊を縮めると棘は先端が集まり束ねられた三角錐状になり肉塊の内側に収まる形になります。 肉塊は棘を育てる場所としても役立っているのです。 |
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参考に(脱皮の手助け) 眠状態の頭は完全に抜け切っているのではなく口に当たる部分のみが最後まで古い 頭と繋がっています。 脱皮の準備が整うと口の部分も外れ、間にある体液を吸い込めるようになり抜き取 ってしまいます。 古い皮は体液の水分と接している間は柔軟性を保ちますが、無くなると乾燥し縮も うとする性質に変わります。 これはスムーズに脱皮を行うための手助けになっています。 |